開智望の児童生徒の多くが、つくばエクスプレス守谷駅から関東鉄道に一駅ゆられて通学しています。その守谷駅では毎年この時期に、紫木蓮の花が盛りを迎えます。白木蓮は花弁が9枚であるのに対し、紫木蓮は6枚。遠目に見ると枝にたくさんの小鳥が止まっていて、翼を羽ばたかせて今しも飛び立とうとしているように見えますね。
寺田寅彦の短いエッセイ『木蓮』には、クスっと笑ってしまうような面白さがあります。「白木蓮は花が咲いてしまってから葉が出る。その若葉の出はじめには実に鮮やかに明るい浅緑色をしてゐて、それが合掌したような形で中天に向って延びて行く。…紫木蓮は若葉の賑やかなイルミネーションの中から派手な花を咲かせる。…人間もなんだか、これに似た二種類があるやうな気がするが、何が“花”で何が“葉”だかが自分にはまだはつきり分からない。」…分からんのかいっ、という突っ込みが聞こえて来そうですね。寺田寅彦は物理学者・随筆家で、熊本五高時代に夏目漱石と出会い、終生、漱石を師と仰ぎました。寺田の弟子には、「雪は天から送られた手紙である。」という美しい言葉で知られる雪博士・中谷宇吉郎がいます。さてさて、人間にとって“花”とは、“葉”とは何でしょうね。